2004年05月28日
映画「コールド・マウンテン」（ネタばれあり）
実は、この映画、観る前は敬遠してました。
まず、反戦映画はですね、あまり観たくなかったですよ。やっぱ、重いですから。
あと、予告編やＣＭでの、ニコール・キッドマンのアップにちょっと引いてしまって…。(>_<)
じゃ、なぜ観たのか？
「くさってもブラピ：コールド・マウンテン」さんを読ませて頂いて、やっぱ、レニー・ゼルヴィガーを観ておかないと、って事で。
(^_^;)
で、「やっと」観たって感じ。
ですが。
結論から書くと、観て良かったです。
えっと、物語は、予想通り、哀しいお話。
まず泣けたのは、「脱走兵」ジュード・ロウが、山で独り暮らしの「若い」おばあちゃんに助けられる場面。彼にふるまう食料として、ヤギをさばくシーン。元々は見ず知らずのおばあちゃん、限りなく優しい。そして傷を負ってボロボロの兵士を静かに助ける。哀しい。
次に泣けたのは、三人組に襲われて、赤ちゃんが地面に直接寝かされてしまうシーン。
「（赤ちゃんは）病気なのよ！服をかけて！お願いだから…」母の悲痛な叫び。
私の場合、戦闘シーンが大規模になればなるほど、感情移入出来なくなってくるようで、こういう「個」が浮き彫りになるシーンに反応してしまう。涙が止まらなくなる。
今書きながら思い出してもウルウルしてくる。やめてほしい。
冒頭の壮絶なシーンも、そして、こんな個々のエピソードも、さらに、「脱走兵」を銃殺にしようとする場面（元は味方同士なのに！）も、その哀しさは、全て反戦のメッセージなのだと思う。
そして、映画がいくら悲惨に描いても、実際の戦争は想像を絶するほど、もっともっと悲惨なのだろうと思う。だから、争うことそのものが愚かなのだ。
敵も味方も無い。まして、どちらが「正義」でも無い。「戦争」そのものを否定しなければいけないと思わせられてしまう。
だからこそ、観客の誰もが生きのびてほしいと思う登場人物も、映画の中ではあっけなく死ぬのではないか。
そして、とどめに、やはりラスト前の「インマン！、Ｎｏーーー！！」。
そんなぁ…。これはかわいそう…。
でも。
レニーが助かってて良かった。
ほんとに美しい、木々の緑、俯瞰シーン、暖かい食事風景、…、それまでの緊張感が一気にゆるむラストは、光あふれる、希望的なものだったし。
どんなに悲しい事があっても、人はそれを乗り越えて生きなければならないのである。
こんな悲惨な「戦争」の中で一つだけ良かった事をあげるとすれば、戦争を乗り越えた事で、ニコールが逞しくなった事くらいか。もちろん、レニー・ゼルヴィガーが彼女を「鍛えた」のでは、あるが。（それにしても、平和が続いていたら、そうなる「必要」も無かった訳で、それはそれでやはり哀しい事だとも言えるのだけれど。）
このニコールとレニーの交流も、この映画のもう一つの見所では、ある。（上記「くさってもブラピ」さんでは、こちらを中心に書かれています。）
兵士が生きたいと思うのと同じく、残る者たちも、生きなければならないのである。この映画では、そちらもきちんと描かれて「助演女優賞」へと繋がったのだろう。
そうそう、以前、「 もう少し追記で… 」の中で、私、純愛ってわからないし、って書きましたが、実は「世界の中心で、愛をさけぶ」よりも、こちらの方がよほど純愛物語だよなぁ、って感じたのは私だけでしょうか？！
◆追記です（2004/05/30 22:33）◆
参照ページリンク等、追加しました。（↓下記コメント欄も是非↓）
投稿者 savabigi : 2004年05月28日 02:14 | [ 映画・テレビ ]
コメント
SavaBigiさん、記事にしてくださってありがとうございます。
赤ちゃんが地面に寝かされちゃうエピソードは読んでるだけで、悲しみが伝わってきました。
複雑な心理描写をしている映画のようですね。
そういうの、好きなんですよ。
戦争映画ってだけでは、私も敬遠しちゃいます。
ただの恋愛映画だと、それも敬遠しちゃうんですが(笑)。
会員になっている名画座にリクエストしようっと！
←ロードショーには行かないの？(＾_＾;)
投稿者 kuu : 2004年05月28日 23:53
kuu さん、こんばんは。
えっと、この映画の場合、ストーリーは結構シンプルだと思うんです。
でも、「反戦」と「恋愛」を両方練り込んであるって感じでしょうか。
この、「両方」っていうのが、どっちつかずの中途半端だと書いてある方もいらっしゃいました。
でも、私の場合、「恋愛」が中心軸にあって、「その場所に生きて帰りたい」っていう部分に「反戦」が描かれ、そして待つ者の生活の中にレニーとの交流が盛り込まれる、って感じで、うまくまとまってたと思いました。
あ、そうそう、女の方の場合、こちらの「待つ」方を中心に感動されている方もいっらしゃるので、そちらも読まれてみてはいかがでしょう？
http://kamemushiko.blog.ocn.ne.jp/movie/2004/05/post_12.html
の、かめむしこ さんのページ辺りは、お薦めです。
投稿者 SavaBigi : 2004年05月29日 00:53
SavaBigi、かめむしこさんのサイトをご紹介くださってありがとうございます。
とてもよい映画評＆文章で、やっぱりこの映画を観たくなりました。
「キル・ビル１」「セブン」など、賛否両論あった映画ですが、実はkuuもかなり好きなのですよ。(＾_＾;)
んで、思ったのは、好きな映画を応援したかったら、やはり、ちゃんとした記事にしないとアカンなと…。
・・・反省しております。
SavaBigiさん、かめむしこさんを見習わなくては！
これからも、いろいろご紹介くださいませ。ｍ(_ _ｍ）ﾍﾟｺﾘ
投稿者 kuu : 2004年05月30日 02:15
すみません。。SavaBigiさんを呼び捨てにしてしまいました。。。
投稿者 kuu : 2004年05月30日 05:26
kuu さん、こんにちは。
> やっぱりこの映画を観たくなりました。
でしょう？
私も、この方のページを読んでから観に行きましたから。(^-^)
でも、感想を真似するわけにも いきませんでしたから、私流の視点で書きました。
けど、kuu さんのコメントを読むと、私の感想本文中に、あちらへのリンクがあった方が親切ですよね。(^_^;)
私、今は宿直明けで思考停止状態なのですが、後で、追記を考えてみますね。
あ、それと、kuu さんも、「死ぬまでにしたい10のこと」（愛媛では、公開されてないような気も…、否 見逃しただけか？）とか、渋い作品をご覧になっていらっしゃる様なので、是非とも、たまには「映画評」や、「DVD評」を読ませてくださいね。楽しみにしておきます。
投稿者 ココの管理人 : 2004年05月30日 13:56
こんばんは。
申し訳ないほどの言及をしていただきまして、ありがとうございます（汗）。
私のレビューは、かなりのネタバレ＆かなりのヒステリーを含んでいますので、こんなふうに観る前の参考にされると、とても恐縮してしまいます（大汗）。
コールドマウンテン。
そうですよね〜。ニコールが、逞しくなってしまったのも、この戦争があったから・・・。うーむ。
赤ちゃんのシーンでは、若き母親のしたたかさにも、ドキリとしました。最後、赤ちゃんを気にかけていた兵士をインマンは逃がしましたが、彼女は撃ちましたよね。うーん、せつない。
投稿者 かめむしこ : 2004年05月30日 22:08
こんばんは。かめむしこ さん。
> 申し訳ないほどの言及をしていただきまして…
いえ、ほんとに「鋭い」切り口と、人間味溢れる素直な感想、いつも楽しみに読ませて頂いてます。
> この戦争があったから…
ええ、でも、彼女は長い目で見て、遅かれ早かれこの逞しさを身につけないと生きていけなかった訳で、レニーと出逢えた事は本当に良かった事ですよね。（神父が、いつまでも生きているはずもないですから。）
> 彼女は撃ちました
はい。したたか、と言うか、女の人の「恨み」のようなものは、つくづく恐ろしいと…。
でも、逆に、逃がそうとしたインマンの甘さが、結局「対決」場面で命取りに繋がってしまったのかも、とも思ったり。
投稿者 ココの管理人 : 2004年05月30日 23:23
SavaBigiさんこんばんわー。
ＴＢへのコメントありがとうございますー。( ^)o(^ )
いい映画を観るとこうやって同じように感動した方達とやり取りができて楽しいですよねー。今後ともよろしくおねがいします☆
えと、ナタリーポートマンの出演シーンは戦争の悲惨さを伝える為に非常に重要な描写となっていると思います。
冒頭でインマンの銃の受け取りを「銃は危険で野蛮な物」として拒絶していましたが、いざ、狼藉者の襲撃を受けて我が子と自分の命の危険を実感した時に衝動的に撃ってしまいます。あれは女の人の恨みというような性別的な特異性を描いたんではなく、戦争とは人をそうさせてしまうほどの悲劇を生むんだという、本作の中で一番つらいシーンの一つだと思いました。(TдT）
投稿者 ミターン : 2004年05月31日 04:01
ミターン さん、いらっしゃいませ。
> 戦争とは人をそうさせてしまうほどの悲劇を…
おぉ、全くその通りですね。
実際、インマンのセリフにも、「（戦場では）優しさを捨ててしまった」とか、ありましたし。
あと、確かエイダのナレーションにも、戦争は人を変えてしまう、とかいった様な言葉もありましたしね。
鋭いご指摘、どうもでした。
m(_ _)m
投稿者 ココの管理人 : 2004年05月31日 04:12
ナタリー･ポートマンの「したたかさ」を感じたのは、亡き夫の衣服をインマンに与え、そっと覗き見て、隣に寝てほしいと頼む・・・このあたりでしょうか。
亡き夫の面影を見、人肌を欲してしまう瞬間。
自然な心の動きだと思います。
このことから考えると、撃ったことも、彼女が生きていくためには当然の行為だったのですよね。
性別的な特異性ではないかもしれませんが、「甘い」インマンにはない、彼女の生き方を感じさせる場面でした。
投稿者 かめむしこ : 2004年05月31日 14:30
> 隣に寝てほしいと頼む
ああ、あそこは、確かに男と女の差が出る部分ではありましたよね。
男にとっては、「何もしないで隣に、」っての、キツイでしょ、なんて思ったり。（笑）
でも、実際には、そこで観客側は、インマンのエイダへの愛を再認識するわけで、ほんと「微妙」なシーンでした。
> 「甘い」インマンにはない、彼女の生き方を感じさせる場面
ええ。本当に。対照的に描かれていたと思います。
彼女はインマンが立ち去った後も、「独りで」子どもを育てながら生きぬいていかなければならないですからね。
（待ってくれているであろう）エイダのもとへ戻ろうとするインマンとは、また全然違う「覚悟」のようなものも必要だったでしょうし。
実際、この映画、女の人たちは、本当に逞しいというか、そうでなければ生きていけない、っていうのが随所にみられましたよね。
レニーも、ニコールも、村のサリー(?) も、女の人たちは、みんな生き残りましたし。
投稿者 ココの管理人 : 2004年05月31日 15:18
皆様こんばんわー。(≧◇≦)ノ
熱い語りが続いてイイ感じですね〜☆
>亡き夫の面影を見、人肌を欲してしまう瞬間。
>（待ってくれているであろう）エイダのもとへ戻ろうとす>るインマンとは、また全然違う「覚悟」のようなものも必
>要だったでしょうし。
あぁ、ほんとにそうですよね。今でも鮮明に思い出されます。細かい感情描写が抜群にうまい監督だと思いました。
ナタリーポートマンの出演部は非常に心に残りますね。そういう意味で。
投稿者 ミターン : 2004年06月01日 01:10
> 細かい感情描写が抜群にうまい監督だと思いました。
はい。本当にそうでしたね。
あと、全然関係ないシーンですが、ニコールがレニーにブレスレットを渡してあげる場面なんかも、「微妙」な心の動きが出てて、かなり印象に残ってたりもします。
(^-^)
投稿者 ココの管理人 : 2004年06月01日 16:54