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2005年02月06日

映画「ネバーランド」

ネバーランド のポスター子どもの心、大人の心、を見事に表現した映画。
そして、「物語の力」を表現した映画。
はまる人には、不意打ちの様に涙がホロホロとこぼれる映画。

私は、ファンタジー系が苦手だし、映画の始めが、ちょっとつまらなくて、やっぱダメかも、と思ったが、実際には、凧あげのあたりから、ジワっと感動し初めて、結局中盤から泣きっ放しだった。
号泣するような感じじゃないんだけど、静かにサラサラと涙が溢れてきて、止まらなくなる。

ジョニー・デップの目が苦手だし、あと、ケイト・ウィンスレットは、このお話にとっては、見た目が健康的過ぎて ちょっと違うよな〜、なんて思ってたのに、「映画」全体としては、ほとんど影響ないんだね、そういうの。

逆に宣伝は下手過ぎかな。
劇場版予告編も、何だかピンとこなかったし。この映画、危うく観逃すところだったよ。

【以下、ネタバレあり】

前半部、犬を熊に見立てるシーンでは、全然入り込めなかった。
この時点では、私は、まだ「大人でいなければならない」大人だったのだろう。

けれど、最初にも書いたけど、中盤あたりの「ピーターが作った劇」のシーンで、「明日お父さんと釣りに行こうね、って言われたのに…」っていうシーンから後は、涙なしでは観れなかった。
ほんと、ホロホロと、サラサラと、今まで感じたことの無かった涙の流れ方。
「子ども」と「大人」の気持ちのすれ違い、切ないよ。

そして、やっぱり、男と女も、…。

君は30秒で大人になった、っていうシーンも良かった。
4人の子役の中では、長男が一番好き。

あと末っ子がベンチの下でデップと会話するシーンが超かわいい。

劇中の「初演」シーンも長過ぎず、しかも、ファンタジックな場面を見事に編集してあって、そのさりげなさが凄いと思う。
大人に混じった「25人」の観客、効果的だったよね。

デップ達夫妻に、子どもが無かったのは、ちょっと切ない設定だよね。
ただし、子どもが居ても破綻する時には、破綻すると思うけれど。
妻には、それがはっきり解ってたんだと思う。
その事は、妻が「初演」を観とどけた後のデップとの会話から、容易に想像出来る。

「妖精を信じる人は拍手して」っていうシーンで、あの怒ってばかりの祖母が、真っ先に拍手をしたのも、とても印象的。
あぁ、この人は心の底から、「死なせたくない」と思っているんだ、って伝わってくる瞬間。
しかも、その後の繋がりは圧巻だった。眼前に広がる、広大な虚構の世界を一瞬にして見せる。「リアル」部分と「ファンタジー」部分とを、こんなに見事に行き来した映画は観た事がなかったように思う。

この祖母の存在は、ずーっとデップとは「対照的」に描かれる。
ところが、最後には、結局同じなんだ。この二人とも、「大人」なんだもの。
よく、ピーターパン=大人に成り切れない、などという概念が一般化しているけれど、実は全く違っている。
でなければ、君は30秒で大人になった、なんてデップが言えるはずないんだから。

ラストは押さえ気味だったけど、人間の「生死」で泣かせようとする映画じゃなかった、という事がまた素晴らしいと思う。
むしろ、子ども達の「成長」が、「泣かせる」テーマの一つだもの。

惜しむらくは、「病気」ネタ無しでここまで引っ張ってくれる映画だったら、もっと良かったかも知れない。
今まで味わった事のない涙を流した映画だけに、本当に本当に僅かな、残念な点だ。(けど、そこまで出来てたら、間違いなく「映画史」に永く刻まれる一本になったはずだ。)

※ 何か書き足りない気分なので、そのうち書けそうになったらもう少し追記するかも知れません。

【 2005/03/02 追記 】

「PICO*THEATRE」さんの本館の方で、私など、足元にも及ばないくらい、冷静で素晴らしいレビューを読ませて頂きましたので、追記します。

PICO*THEATRE : ネバーランド*レビュー

JMバリは空想の世界が大好きな一寸困った人です。
社交界どころか大人社会のことが今ひとつわかっていません。
友人として純粋にシルヴィア一家のことを心配して援助の手を差し伸べようとしますが、そのことで周囲からあらぬ噂を立てられることや、奥さんから勘ぐられることなんてちっとも考えていない。

〜中略〜

自分が客観的にどう見られているかがわかっていません。大人になりきれていない子供な大人です。

なるほど、です。ホント鋭い!。私の見方なんて全然ダメですね。
尚、トラックバック先は、「 PICO*THEATRE ネバーランド 」さんの方にさせて頂きますね。

投稿者 savabigi : 2005年02月06日 14:27 | [ 映画・テレビ ]

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» 『ネバーランド』で泣いてきました。 > kuu from 風茶房 日々雑記
若いときは朝から仕事して、仕事帰りに観劇してハシゴで飲みに行く、なんてことを連日 [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年03月03日 13:40

» ネバーランド from ☆☆☆Keiの海外投資ブログ☆☆☆
 最近TSUTAYAで名作100選を1本100円で貸し出ししているので、それでこのネバーランドがあり、見てみました。昔から『ピーターパン』は大好きで?... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2009年10月28日 16:41

コメント

TBありがとうございました。
褒めていただいてこそばゆい気持ちですが、私はジョニー好きなので余り冷静ではないと思います(汗)

この作品史実とはかなり異なっていてバリは既に離婚していたし、ピーター一家は父親が存命だったそうです。
米国で上映当時、シルヴィアの子孫に当たる人の一部からクレームがついたそうで
「どこがそんなにダメなんだろう?」と不思議に思ったものですが、
「シルヴィアがいなければバリ夫妻は離婚しなかったかもしれないのに」
というご意見を聞いて、その子孫の方もそう思われるのが嫌だったのかしらと思いました。

私はシルヴィアがいなくても史実同様に離婚したと思います。仮に子供がいたとしたら…どうなんでしょう。
おっしゃるようにそれでも破綻したかもしれません。
私は「いつまでも子供のような心を持つ」ということを全肯定はしませんので、
「純粋ゆえに傷つく人」や「純粋さに相容れない人」や「歩み寄れる人」を描き分けるこの作品には本当に好きです。

投稿者 かがり かなで : 2005年03月05日 15:47

かがり かなで さん、はじめまして。
コメント、どうもありがとうございます。

> 余り冷静ではないと思います(汗)

そうですか?
かがり かなで さんの文章は、随分 鋭い分析だと感じましたが。

> この作品史実とはかなり異なっていて

ええ。
実際、この映画は「伝記」ではないですよね。
日本版の冒頭で、「フィクション」である旨の字幕があったような気が…。

> 「シルヴィアがいなければバリ夫妻は離婚しなかったかもしれないのに」

> 私はシルヴィアがいなくても史実同様に離婚したと思います。

これはどうなんでしょう?
私も、遅かれ早かれ、破綻していたようにも思えます。(あの映画におけるバリ夫妻の状態では。)
例えば、「私もネバーランドを見たかった」と言われても、彼女の方にそれを実現させるほどの愛情は無かったのでは?、とも思いますし。

> 「純粋ゆえに傷つく人」や「純粋さに相容れない人」や
> 「歩み寄れる人」を描き分けるこの作品には本当に好きです。

なるほど。
やはり、鋭い分析、お見事です。
私も、この映画、本当に「記憶に残る一本」になりました。

また、そちらにもおじゃましますので、今後とも宜しくお願い致します。
m(_ _)m

投稿者 ココの管理人 : 2005年03月08日 03:26

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